株式会社オーシャンアイズ(OceanEyes)は、パターン認識と海洋シミュレーション・データ同化などの最先端の情報技術を活用し、持続可能な海洋利用を実現することを目標に開発されたOceanEyes技術群をサービスとして提供する技術ベンチャー企業です。

OceanEyesが目指すビジョン

OceanEyesは、研究開発と事業を通じて、「漁業者が将来も安定して漁業を続けていける社会」「地球の豊かな海洋資源が持続する社会」の実現を目指しています。持続可能な水産業、は国連SDGsの一つにも含まれており、世界的な課題としても認識されています。

70年ぶりの漁業法改正により⽇本でも管理漁業が導⼊されつつある現在、漁業者は制限された漁獲量の下、操業コストを下げ、単価を向上させることで利益を出すことで、事業を継続していく必要に迫られます。操業コストの改善には、正確に漁場を判断し、無駄な漁場探索コストを減らすことが効果的です。しかし、今現在、漁業者は、決して十分精度がよい、最新のデータとは言えないデータに頼らざるを得ない状況にあります。データに基づいた操業という考え方自体も、まだ十分に浸透しているとは言えません。さらに、漁業者の高齢化により、ベテラン漁師の技能継承が難しくなりつつあり、若手とベテランの技能格差が広がっています。 OceanEyesは、最新技術に基づいた「技術の眼」による革新をすすめることで、こうした状況を改善していきます。

OceanEyesは、海水温や潮流の方向や強さといった海況の現在・未来の状況を推定する技術と、そうした海況予測に基づいて好漁場を予測するFishTech技術を開発し、サービスとして提供しています。

OceanEyesの海況予測技術は、海洋物理学の数値モデルに基づいてスーパーコンピュータが海況を計算する手法で、数値モデルと実際の観測結果を同化させるデータ同化技術により、高い精度での予測が可能となっています。現在一般的に用いられている10Km解像度よりもさらに詳細な2kmメッシュの解像度での予測が可能であり、島嶼部や内海といった海域でも利用が可能です。将来的には数百m単位での予測を目指してモデルの改善を進めているほか、漁船に搭載したセンサが測定したデータを組み合わせ、漁船の近くの海況を数百-数十m単位でオンデマンドに予測するOnSpot海況予測技術の開発も行っています。網入れなど漁船の実際の操業に役立つと期待しています。

また、計算に時間のかかるスーパーコンピュータによるシミュレーションよりも高頻度に海水温を提供する手法として、衛星観測データに深層学習による画像復元技術を用いることで、衛星観測データから雲を除去し、高速に海水温データを復元する技術も開発しています。現在、2時間前の海水温を提供することが可能になっています。

更に、こうした衛星が観測した海水温パターンと実際の位置情報付き操業記録を組み合わせることで、ベテラン漁師の技能を学習し、その時々の海況において最も魚が獲れそうな漁場を推定する技術も開発しています。

Ocean Eyesは、これまで開発してきたFishTech を元に、こうした社会課題へのソリューションを提供し、“漁業者にも地球にも持続可能な漁業”の実現を目指しています。

Ocean Eyesプロジェクトの沿革

ここでは、10年に渡る研究プロジェクトがどのように進められてきたのかをご紹介します。

▼RECCA : Ocean Eyesの源流

Ocean Eyesの源流は、2010年に始まった「気候変動適応研究推進プログラム(RECCA)」にあります。RECCAでは、JAMSTEC、青森県産業技術センター、水産総合研究センター、京大、北大が研究チームを組み、アカイカを対象に、温暖化に伴う漁場や水産資源量の変動の推定、その適応策に必要な情報の提供を目的に技術開発を行いました。その成果は、現在青森県の漁業者に提供されています。

RECCA 「気候変動に伴う水産資源・海況変動予測技術の革新と実利用化」

今でこそOcean Eyesは人工知能、中でも深層学習系の技術を使っていますが、当時は機械学習系のランダムフォレストやSVM全盛で、まだニューラルネットが流行となる前の時代。Ocean Eyesでは、今の第三次AIブームが始まる前から研究が継続していることになります。

▼CREST : 持続可能な漁業 × 人工知能(AI)系技術

RECCAプロジェクト終了後の2016年12月、JAMSTECと京大を中心とするサステイナブル漁業の提案が、科学技術推進機構(JST)の戦略的研究推進事業(CREST)の人工知能領域のテーマの一つとして採択され、事業が始まりました。

CRESTでは、サステイナブル漁業の実現をビジョンに掲げ、資源保護と経済性とを両立させ、漁業活動において取得される海洋気象や水産に関する多様なビッグデータを人工知能技術によって分析して、漁業者や自治体などに提供する技術の開発を目指しました。海洋水産ビッグデータから、高精度な海の天気予報を行う技術、良い漁場を見つけ出す技術を開発し、そこで得られた情報を利用者である業業者や行政、海洋産業に提供することで、持続可能な水産業を実現させることがテーマとなっています。2018年には加速フェーズの審査もパスし、2019年4月から2022年3月までFishTechの研究プロジェクトとして継続することになっています。

CREST 「サステイナブル漁業に向けたデータ指向型リアルタイム解析基盤の開発」

 

株式会社オーシャンアイズ設立

RECCAから10年に及ぶ研究開発の成果を社会に実装することを目的として、2019年4月1日に株式会社オーシャンアイズを設立しました。基礎研究を京都大学・JAMSTECが担い、サービス実装と販売・マーケティングをオーシャンアイズが担う体制のもと、持続可能な水産業・海洋産業を実現することを事業理念として活動を行なっています。